第21回「日本胎盤臨床医学会」大会開催
──「胎盤療法 次の10年─The next decade─」をテーマに──
日本胎盤臨床医学会(理事長・長瀬眞彦)主催の第21回学術大会が、2017年6月18日(午前9時30分〜午後5時)、東京・お茶の水のソラシティーカンファレンスセンターで開催された。大会実行委員長は長瀬眞彦氏(東京:吉祥寺中医クリニック院長)、同副委員長および総合司会は渡邊千春氏(浦和:千春皮フ科クリニック院長)が務めた。
会の創設以来10年を経て新たなステップへと進む大会であることから、全国各地から医師・研究者・医療スタッフ・健康・美容関連事業者など190名余りが参集し盛会となった。
大会テーマには「胎盤療法 次の10年 ─The next decade─」が掲げられた。当医学会は発足以来、プラセンタ療法の浸透を期して広範な診療科に及ぶ臨床例の集積に努めてきたが、プラセンタの信頼度を一段と高めて更なる普及を図るためには、作用機序を明らかにする基礎研究の拡充、基礎と臨床のコラボレーションを求める機運が高まってきていた。大会テーマの「次の10年 ─The next decade─」は、その求めに応える第一歩が踏み出されたことを内外に宣したものと受け止められよう。
テーマに応じて今大会は12題のプログラムが組まれたが、このたび英国の『Climacteric』誌に研究論文が掲載された「更年期症候群にプラセンタを用いた二重盲検試験」に関する臨床報告を皮切りに、基礎研究3題、また国際交流の一環として韓国とロシアから各2題の特別講演が組まれた。また、招待講演では朝霧高原で展開されている地域医療(統合医療)の実際が披瀝され、教育講演ではプラセンタ療法に適した臨床試験の評価法をはじめ、伝統医学への望ましい向き合い方が語られた。また、「美容皮膚科で生きる漢方」と題したランチョンセミナーは、漢方医療のユニークな展開として関心を集めた。
セッションの最後に行われた「総合討論」は研究者3名が加わり、司会者を含む6名で基礎研究の必要性と困難さを巡り突っ込んだ意見が交わされた。なお、討論会の記録は医学会のホームページに掲載される。
〔講演の演題及び演者〕
〔招待講演〕 | コミュニティー・ベースの統合医療──自然欠乏症候群概念を含めて 朝霧高原診療所 院長、WELLNESS UNION〔富士山静養園・日月倶楽部〕代表 山本 竜隆 |
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〔教育講演〕 | 患者ファーストの臨床評価法はRCTの先にあ─東方医学から学ぶ個別化・精密医療 帝京平成大学ヒューマンケア学部 教授 上馬塲 和夫 |
〔臨床発表〕 | 更年期女性の軽微な更年期症状に及ぼすプラセンタエキスの効果 山本医院 院長 山本 俊昭 |
〔特別講演1〕 | 当クリニックで行っている胎盤による美容療法 アーバンビューティー形成外科 代表院長 申 峻昊 |
〔特別講演2〕 | Ideal Usage for Placenta Injection Medical Doctor of Greencross lab & I-Med Center, Korea Donghwan Kim |
〔特別講演3〕 | Russian experience of application Laennec in gynecology Doctor Med Sci., Professor Irina Vsevolodovna Kuznetsova |
〔特別講演4〕 | Prospective of gerontological applications of Laennec: fundamental studies & molecular mechanisms Doctor of medical science Olga Alekseevna Gromova |
〔基礎研究1〕 | 〔基礎研究1〕臨床所見にマッチした抗酸化活性の測定法とは? メルスモン製薬㈱ 研究所所長 高橋 良樹 |
〔基礎研究2〕 | 基礎から臨床へ:二つの経験の紹介──プラセンタエキスと サイタイエキスの外用での美容効果&新規乳酸菌LJ88 スノーデン㈱ 商品開発本部開発研究部 部長 小松 靖彦 |
〔基礎研究3〕 | 肝がん細胞における抗がん剤とヒト胎盤抽出物の併用効果 ㈱日本生物製剤 プラセンタ・アベニール研究所 所長 平野 栄一 |
〔総合討論〕 | テーマ:基礎と臨床のコラボレーション 司 会:長瀬 眞彦(吉祥寺中医クリニック 院長) 出席者:上馬塲 和夫(帝京平成大学ヒューマンケア学部 教授) 北野原 正高(きたのはら女性クリニック 院長) 小松 靖彦(スノーデン㈱ 商品開発本部開発研究部 部長) 高橋 良樹(メルスモン製薬㈱ 研究所所長) 平野 栄一(㈱日本生物製剤 プラセンタ・アベニール研究所 所長) |
〔ランチョンセミナー〕 | 美容皮膚科で生きる漢方 野本真由美スキンケアクリニック 院長、オバジクリニックトウキョウ 総院長 野本 真由美 |